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東三河の建設業M&Aで元請・下請比率と技術者承継を整理する実務

2026 6/24
コラム
2026年6月24日
譲渡企業と買い手候補の条件整理を行うM&A面談

COLUMN

豊橋・東三河で建設業M&Aを考える譲渡企業に向けて、元請・下請比率、工事別採算、技術者・職人の承継、協力会社との関係、入札や民間工事の見られ方を実務目線で整理します。

目次

結論:建設業M&Aは「許可がある会社」ではなく「工事を続けられる体制」を説明する

豊橋・東三河の建設業M&Aでは、建設業許可や経営事項審査、完成工事高、利益水準だけを見せれば十分というわけではありません。買い手が確認したいのは、譲渡後も受注できるか、現場を管理できるか、技術者や職人が残るか、協力会社が継続してくれるか、元請や発注者との関係が維持できるかという点です。つまり、会社の価値は許可や数字だけでなく、工事を受け、段取りし、完工し、入金までつなげる体制が引き継げるかで見られます。

東三河には、土木、建築、管工事、電気、設備、塗装、防水、内装、解体、造園、舗装、基礎、住宅リフォーム、工場修繕、公共工事、民間工事など、地域の生活と産業を支える建設関連会社が多くあります。こうした会社では、代表者の人脈、現場代理人の経験、協力会社との信頼、地域の金融機関や発注者との関係が、決算書に表れにくい強みになっています。譲渡企業は、これらを「昔からの付き合い」とだけ説明するのではなく、買い手が譲渡後の継続性を判断できる形に整理する必要があります。

一方で、建設業には買い手が慎重に見る論点もあります。専任技術者や主任技術者・監理技術者の配置、社会保険や労務管理、未成工事支出金、工事進行基準、追加変更工事、労災、安全管理、下請法や建設業法、産廃、資格者の高齢化、経営者保証、工事損失の可能性などです。これらは一つでも説明不足だと不安材料になりますが、早めに整理しておけば、買い手との対話を具体化できます。建設業M&Aの準備は、価格を高く見せるための資料作りではなく、工事を止めずに承継するための情報整理です。

既存記事の「建設業許可・経審」から一歩進めて見るべきこと

建設業M&Aでは、許可業種、一般建設業か特定建設業か、経営事項審査、入札参加資格、技術者の資格、決算変更届の提出状況などが基本論点になります。これらは当然重要ですが、実務ではその先に、どの工事で利益を出しているか、誰が現場を管理しているか、どの協力会社が実施工を支えているか、元請・下請のバランスがどうなっているかを見ます。許可があっても、実際に工事を動かす体制が代表者一人に集中している場合、買い手は承継後の運営を慎重に確認します。

たとえば、同じ建設業許可を持つ会社でも、公共元請を中心に入札で受注している会社、民間元請で地元企業や個人から直接受注している会社、大手ゼネコンやメーカーの下請として安定受注している会社、工場や店舗の修繕を小回りよく受けている会社では、評価ポイントが変わります。公共工事では入札参加資格や経審点数、配置技術者、工事成績、行政との対応が見られます。民間元請では営業力、見積力、顧客対応、瑕疵やクレーム対応が重要です。下請中心では元請との関係、単価、支払条件、協力会社との再委託関係が確認されます。

譲渡企業としては、「許可はあります」「経審は受けています」で止めずに、許可や経審がどの売上につながっているかを説明できるようにします。直近3期から5期の工事別売上、粗利、発注者区分、元請・下請、公共・民間、工種、担当者、協力会社、工期、追加変更の有無を一覧化すると、会社の実態が伝わりやすくなります。完璧な管理表がなくても、主要工事だけでも整理する価値があります。

元請・下請比率は強みとリスクを分けて説明する

建設業M&Aで買い手が必ず確認する項目の一つが、元請・下請比率です。元請比率が高い会社は、発注者と直接関係を持ち、価格や工程を主導しやすい一方で、営業、見積、契約、近隣対応、工事管理、クレーム対応、回収管理まで自社で担う必要があります。下請比率が高い会社は、営業負担が比較的少なく安定した受注がある場合もありますが、元請への依存、単価交渉力、支払条件、仕事量の変動がリスクになります。

重要なのは、元請が多いから良い、下請が多いから悪いと単純に決めないことです。たとえば、地域の工場や店舗から直接修繕を受けている会社は、小規模工事が多くても顧客接点が強みになります。特定元請の下請として長年継続している会社は、単価や工期が安定し、発注予定が読みやすい場合があります。公共工事の元請をしている会社は、経審点数や技術者配置が条件に影響します。買い手は、比率そのものよりも、その比率が譲渡後も続く理由を見ます。

譲渡企業は、発注者別、元請別、下請先別の売上構成を整理し、取引年数、主要工種、粗利、支払条件、担当者、代表者個人への依存度を分けます。特定の元請が売上の大半を占める場合は、取引が続く理由、契約書や注文書の有無、過去の工事実績、元請担当者との関係、譲渡後の説明方針を整理します。依存度はリスクですが、長期関係や専門性があれば強みでもあります。弱みを隠すのではなく、継続性を説明できる状態にすることが重要です。

工事別採算を見える化すると、買い手との会話が具体的になる

建設業では、売上高だけでは会社の実力を判断できません。大きな工事を受注しても利益が薄いことがあり、小さな修繕工事の方が粗利率が高いこともあります。材料費、外注費、労務費、重機、車両、現場管理費、追加変更、工期遅延、手直しの有無によって、採算は大きく変わります。買い手は、どの工事が利益を生み、どの工事が負担になっているかを知りたいと考えます。

工事別採算を完璧に把握していない会社でも、準備はできます。直近の主要工事について、請負金額、実行予算、外注費、材料費、社内労務の目安、粗利、追加変更、手直し、工期、担当者を整理します。会計上の処理が細かく分かれていなくても、現場責任者や社長の記憶をもとに、採算が良かった工事、悪かった工事、今後受けたい工事、避けたい工事を分けるだけでも意味があります。買い手は数字の精密さだけでなく、譲渡企業が自社の利益構造を理解しているかを見ています。

特に注意したいのは、完成工事高が伸びていても、利益が残っていないケースです。人手不足や資材高騰、燃料費、外注単価の上昇に価格改定が追いついていないと、受注量が多いほど現場が疲弊します。過去の見積、追加請求、値上げ交渉、未回収、クレーム対応を整理しておくと、買い手は譲渡後の改善余地を判断しやすくなります。工事別採算は、売却価格の説明だけでなく、承継後の経営改善にも直結する資料です。

技術者・職人の承継は人数よりも役割で見る

建設業M&Aでは、技術者や職人の継続が大きな論点になります。専任技術者、主任技術者、監理技術者、施工管理技士、建築士、電気工事士、管工事施工管理技士、土木施工管理技士、技能士、重機オペレーターなど、会社の許可や工事遂行に関わる人材は、買い手の関心が高い項目です。ただし、資格者の人数だけを並べても十分ではありません。誰がどの現場を見ているのか、誰が発注者や元請と話せるのか、誰が若手を育てられるのかを整理する必要があります。

同じ資格を持っていても、現場代理人として工程を組める人、見積ができる人、安全書類を作れる人、協力会社を動かせる人、現場作業に強い人では役割が違います。買い手は、人員表の人数ではなく、譲渡後に工事が止まらないかを見ています。年齢、資格、経験年数、担当工種、担当発注者、現場管理能力、退職予定、雇用条件、代替可能性を一覧化すると、引継ぎリスクが見えやすくなります。

従業員への説明時期も慎重に設計します。M&Aを検討している段階で不用意に広めると、不安から退職や噂につながることがあります。一方で、最終段階まで何も伝えないと、買い手が重視する技術者の定着確認ができず、条件交渉に影響することがあります。譲渡企業と買い手は、誰に、いつ、どのように説明するかを事前に決め、雇用条件、給与、勤務地、役職、現場体制がどうなるかを具体的に伝える準備をします。

協力会社との関係は建設業の生産能力そのもの

建設業では、自社社員だけで全ての工事を完結する会社は多くありません。大工、左官、電気、設備、塗装、防水、解体、足場、運送、産廃、測量、設計、警備、重機、資材業者など、協力会社とのネットワークが工事の品質と納期を支えます。買い手は、譲渡後も協力会社が同じ条件で動いてくれるか、特定の協力会社に依存しすぎていないか、代替先があるかを確認します。

譲渡企業は、協力会社別の工種、取引年数、年間発注額、支払条件、品質・納期の安定性、現場での役割、代表者個人との関係の強さを整理します。長年の付き合いがある協力会社は大きな強みですが、契約書がなく口頭で動いている場合、買い手は継続性を慎重に見ます。特に、特定の親方や一人親方がいないと現場が回らない場合、その人との関係をどのように引き継ぐかを考える必要があります。

協力会社への説明は、従業員や取引先と同じく段階が重要です。買い手が決まる前に広く伝える必要はありませんが、クロージング後すぐに現場が続く場合は、重要な協力会社への説明方針を事前に決めます。支払条件、発注方法、安全書類、現場管理ルールが変わる可能性があるなら、買い手側と調整しておきます。協力会社との関係は単なる外注費ではなく、会社の施工能力の一部として評価されます。

公共工事と民間工事では買い手の確認ポイントが違う

公共工事を扱う会社では、入札参加資格、経営事項審査、工事成績、配置技術者、過去の受注実績、行政との対応、書類作成体制が確認されます。譲渡後に入札参加資格や経審の扱いがどうなるかは、スキームや自治体、時期によって確認が必要です。株式譲渡で会社自体が継続する場合でも、代表者変更、役員変更、技術者変更、経審更新、入札参加資格変更届などの手続きが必要になることがあります。個別の法務・行政手続きは一般論で断定できないため、行政書士や所管庁への確認が重要です。

民間工事を中心にする会社では、顧客との関係、見積の速さ、施工品質、クレーム対応、アフター対応、紹介やリピート、地域での評判が見られます。住宅リフォームや店舗改装、工場修繕のように、代表者や担当者の人柄が受注に影響する業態では、譲渡後に顧客が離れない説明が必要です。過去の施工実績、紹介元、顧客別売上、リピート率、アフター対応の体制を整理すると、買い手は引継ぎ後の営業をイメージしやすくなります。

公共と民間の両方を扱う会社では、それぞれの管理体制を分けて説明します。公共工事の書類管理が強い一方で民間営業は代表者頼み、民間の小回りは強いが公共入札の担当者が限られている、といった特徴があります。譲渡企業は、良い面だけでなく、譲渡後に補強が必要な点も整理します。買い手にとっては、補強すれば伸ばせる余地も評価材料になります。

未成工事、追加変更、瑕疵・保証は早めに棚卸しする

建設業M&Aでは、進行中の工事と過去工事の責任関係が重要です。未成工事支出金、未成工事受入金、完成工事未収入金、工事損失引当、追加変更工事、未請求、未回収、手直し、瑕疵、保証、保険、労災、近隣トラブルなどは、買い手が慎重に確認します。進行中の工事が多い時期に譲渡する場合、どの工事を誰が管理し、利益や損失をどのように見込むかが条件に影響します。

譲渡企業は、進行中工事一覧を作り、発注者、請負金額、契約日、工期、進捗、請求状況、入金状況、追加変更、粗利見込み、担当者、協力会社、懸念点を整理します。過去工事についても、クレームや瑕疵対応が残っているもの、保証期間中のもの、未回収があるものを洗い出します。小さな手直しでも、件数が多い場合は買い手の運営に影響します。重要なのは、問題を隠すことではなく、買い手が対応範囲を把握できるようにすることです。

契約書や注文書、請書、変更合意書がどの程度残っているかも確認します。口頭やメールだけで進んだ追加工事がある場合、請求根拠や責任範囲が曖昧になることがあります。建設業では現場優先で書類が後回しになることもありますが、M&Aではその曖昧さが条件交渉の論点になります。完璧な書類がない場合でも、どの工事にどのリスクがあるかを整理しておくことが実務的です。

社長依存を減らすには、現場・営業・資金繰りを分けて見る

建設業の中小企業では、社長が営業、見積、現場段取り、資金繰り、採用、協力会社対応、クレーム対応を一手に担っていることがあります。買い手は、社長が退任した後に誰がその役割を担うのかを確認します。社長依存がある会社でもM&Aの可能性がないわけではありませんが、依存の中身を分解し、引継ぎ計画を作る必要があります。

まず、社長の業務を営業、見積、契約、現場管理、資金繰り、金融機関対応、採用、従業員面談、協力会社調整、クレーム対応に分けます。それぞれについて、現在誰が補助しているか、譲渡後に誰へ渡せるか、買い手側が補えるかを考えます。たとえば、現場管理は番頭役が担えるが、金融機関対応は社長だけ、見積は社長と工事部長ができる、協力会社との関係は社長の紹介が必要、というように具体化します。

譲渡後に社長が一定期間残る場合は、期間、役割、報酬、権限、責任範囲を明確にします。工事の引継ぎや主要顧客への挨拶には社長の関与が有効なことがありますが、いつまでも先代が実権を持つと新体制が定着しにくくなります。完全に退任したい場合は、買い手が管理人材を入れる必要があるかもしれません。譲渡企業オーナーの希望と会社の現実をすり合わせることが、納得感のある承継につながります。

建設業の譲渡スキームは許認可・契約・税務を個別確認する

建設業M&Aでは、株式譲渡、事業譲渡、会社分割、資産譲渡など、どの方法を選ぶかで影響が変わります。株式譲渡では会社自体が存続するため、契約や許可の継続性を検討しやすい場合がありますが、借入、保証、未成工事、過去工事の責任、表明保証などを引き継ぐ論点が出ます。事業譲渡では、引き継ぐ資産や負債を選べる場合がありますが、建設業許可、契約、従業員、入札参加資格、顧客同意などの確認が複雑になることがあります。

税務面では、株式譲渡代金、役員退職金、役員借入金、不動産賃料、消費税、工事進行の処理、相続との関係などが論点になります。法務面では、請負契約、下請契約、保証、瑕疵、秘密保持、競業避止、表明保証、未払賃金、社会保険、労災などを確認します。許認可面では、建設業許可の要件、専任技術者、経営業務の管理責任体制、変更届、経審、入札参加資格などが関係します。これらは一般論で判断せず、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、金融機関などへ確認してください。

譲渡企業は、最初からスキームを一つに決める必要はありません。会社全体を譲渡するのか、一部工種だけを譲渡するのか、不動産を残すのか、車両や重機を含めるのか、代表者個人所有の資産をどう扱うのかを整理し、専門家と比較します。特に建設業では、許可と人材と工事契約が密接に関わるため、条件交渉より先に論点を洗い出すことが重要です。

買い手候補によって評価される強みは変わる

建設業M&Aの買い手候補は、同業だけではありません。同じ工種でエリアを広げたい会社、前後工程を取り込みたい会社、公共工事の実績や技術者を求める会社、民間修繕の顧客基盤を広げたい会社、工場メンテナンスに強い会社を探す製造関連企業、住宅や不動産と連携したい会社など、目的はさまざまです。買い手の目的によって、譲渡企業の強みの見え方は変わります。

同業買い手は、技術者、協力会社、元請との関係、工事別採算を具体的に見ます。隣接業種の買い手は、自社にない許可や職人、地域拠点を評価することがあります。広域展開を考える買い手は、東三河での営業基盤、地元企業との関係、現場対応力を重視するかもしれません。投資目的の買い手は、管理体制、後継経営者、収益安定性、改善余地を見ます。

譲渡企業は、誰にでも同じ資料を出すのではなく、候補先ごとに関心点と開示リスクを分けます。競合に近い候補先には、顧客名や単価、協力会社情報の開示時期を慎重に設定します。隣接業種の候補先には、専門用語だけでなく事業の流れを分かりやすく説明します。買い手候補の種類を理解すると、匿名概要、面談資料、質疑応答の精度が上がります。

匿名概要では会社が特定されすぎない表現にする

豊橋・東三河の建設業は、地域の商圏が近く、会社名を伏せても、工種、所在地、主要元請、施工実績、代表者年齢、従業員数の組み合わせで特定されることがあります。そのため、買い手候補を探す初期段階では、匿名概要の作り方が重要です。目的は会社を完全に説明することではなく、候補先が関心を持つかを判断できる入口を作ることです。

匿名段階では、「東三河エリアの建設関連業」「公共・民間の両方に対応」「有資格者在籍」「協力会社ネットワークあり」「後継者不在を背景に第三者承継を検討」といった幅のある表現を使います。具体的な発注者名、元請名、工事名、現場所在地、単価、協力会社名は、NDA締結後、候補先の真剣度や競合関係を確認してから段階的に開示します。特に公共工事の実績や地域で目立つ施工事例は、開示範囲を慎重に考えます。

情報を伏せすぎると買い手が判断できず、出しすぎると情報漏えいリスクが高まります。譲渡企業は、初期打診、NDA後、トップ面談後、基本合意後、デューデリジェンスの各段階で、どの資料を出すかを決めておきます。秘密保持は、隠すための手続きではなく、従業員、取引先、協力会社、金融機関との信用を守りながら承継を進めるための実務です。

金融機関、保証、重機・車両・不動産も条件に影響する

建設業では、運転資金、重機、車両、資材置場、事務所、倉庫、保証金、工事代金の入金サイトなどが資金繰りに影響します。買い手は、借入残高、担保、代表者保証、リース、車両ローン、保険、建設機械の状態を確認します。譲渡企業オーナーにとっては、譲渡後に個人保証が残るかどうかが重要な関心事になりますが、保証解除は金融機関の判断が関わるため、譲渡企業だけで確約できるものではありません。

重機や車両は、帳簿上の価値だけでなく、稼働状況、修繕履歴、車検、リース契約、代替可能性が見られます。古い重機でも特定工事に欠かせない場合がありますし、新しい車両でも稼働率が低ければ投資負担になることがあります。代表者個人名義の土地や資材置場を会社が使っている場合は、譲渡後の賃貸借、売買、賃料、契約期間を整理します。

金融機関への説明時期も慎重に決めます。初期検討段階で広く伝える必要はありませんが、基本合意や資金計画の段階では、買い手の信用力、譲渡後の経営体制、借入や保証の扱いを協議する必要があります。建設業は工事代金の入金まで時間差があるため、譲渡後の運転資金計画も重要です。譲渡企業は、借入一覧、保証、担保、リース、重機・車両、不動産を早めに棚卸ししておくと、条件交渉が進めやすくなります。

安全管理・労務資料は現場の安定性を見る材料になる

建設業M&Aでは、売上や許可だけでなく、安全管理と労務管理も確認されます。労災履歴、安全教育、KY活動、作業員名簿、社会保険加入、雇用契約、就業規則、残業、休日、退職金、資格更新、健康診断、協力会社の保険加入状況などは、買い手が現場運営の安定性を見る材料です。書類がすべて整っていない会社でも、どこが不足していて、どの現場でどのように管理しているかを説明できることが重要です。

特に、職人や現場担当者の高齢化、人手不足、長時間労働、休日対応、応援人工への依存は、譲渡後の継続性に影響します。買い手は、従業員が残るかだけでなく、無理な働き方で現場を回していないかを見ます。労務上の未整備がある場合、それだけで交渉が終わるとは限りませんが、後から判明すると信頼を損ねます。譲渡企業は、社会保険、労働条件、残業、労災、資格、安全書類を早めに棚卸しし、必要に応じて社会保険労務士などへ確認してください。

譲渡後100日の引継ぎ計画を持つと条件交渉が進めやすい

建設業の譲渡では、契約締結や株式譲渡だけで承継が終わるわけではありません。譲渡後の最初の数か月で、従業員、主要元請、発注者、協力会社、金融機関、進行中工事への説明をどう進めるかが、事業の安定に大きく影響します。譲渡企業が譲渡後100日程度の引継ぎ計画を用意しておくと、買い手は実務を具体的に想定しやすくなります。

計画には、社長の挨拶同行、主要取引先への説明順、現場ごとの担当引継ぎ、協力会社への説明、金融機関との協議、未成工事の進捗確認、請求と入金の確認、従業員面談、安全書類や許可関連の届出確認を入れます。すべてを譲渡企業だけで背負う必要はありませんが、どこまで関与できるかを明確にすると、譲渡価格以外の条件も話しやすくなります。買い手にとっても、引継ぎ計画がある会社は、譲渡後の混乱を抑えられる可能性が高いと判断しやすくなります。

初回相談前に準備したい建設業M&Aチェックリスト

初回相談では、全ての資料が完璧である必要はありません。むしろ、どこが整理できていて、どこが未整備かを把握することが出発点です。建設業M&Aでは、次のような資料や情報を用意できる範囲で整理しておくと、譲渡企業の状況を把握しやすくなります。

資料とあわせて、代表者自身の優先条件も書き出しておくと相談が進めやすくなります。従業員の雇用を守りたいのか、屋号を残したいのか、特定の元請や協力会社との関係を大切にしたいのか、個人保証をどうしたいのか、譲渡後にどの程度現場へ関わるのかを整理します。価格だけでなく、守りたい条件を早めに言語化することで、買い手候補の選び方や交渉の順番が明確になります。

  • 直近3期の決算書、税務申告書、月次試算表
  • 建設業許可、許可業種、経審、入札参加資格、変更届の状況
  • 工事別売上、粗利、元請・下請、公共・民間の区分
  • 進行中工事、未請求、未回収、追加変更、懸念点の一覧
  • 技術者・職人の資格、年齢、担当工種、退職予定、代替可能性
  • 主要元請、発注者、協力会社、取引年数、支払条件
  • 重機、車両、リース、保険、資材置場、事務所、不動産の扱い
  • 借入、担保、個人保証、役員借入金、金融機関との関係
  • 社長が担っている営業、見積、現場、資金繰り、協力会社対応
  • 守りたい条件、譲渡希望時期、社長の引継ぎ可能期間

このチェックリストは、買い手にそのまま提出する資料ではありません。譲渡企業が自社の強みとリスクを整理するための入口です。会社名を伏せた相談段階では、顧客名や工事名まで出す必要がない場合もあります。まずは、どの論点が強みで、どの論点に専門家確認が必要かを分けることが大切です。

まとめ:建設業M&Aの準備は、地域の現場力を次へ渡すための整理

東三河の建設業M&Aでは、建設業許可や経審だけでなく、元請・下請比率、工事別採算、技術者・職人、協力会社、公共・民間工事、未成工事、社長依存、金融機関対応まで含めて、工事を続けられる理由を説明することが重要です。買い手は過去の数字だけでなく、譲渡後に現場が回るか、従業員や協力会社が残るか、発注者との関係が続くかを見ています。

譲渡企業にとって、準備を始めることは、すぐに会社を売ると決めることではありません。親族内承継、役員承継、第三者承継M&A、事業提携、経営改善など、複数の選択肢を比較するための材料になります。後継者不在、技術者の高齢化、協力会社の減少、資材高騰、価格改定、保証や借入の不安がある段階でも、早めに論点を整理する意味があります。

豊橋・東三河で建設業M&Aや会社売却を検討しているオーナーは、まず「どの工事で利益を出しているか」「誰が現場を動かしているか」「どの協力会社が支えているか」「社長が抜けても何が残るか」を言語化してみてください。完璧な資料がなくても、現状を整理することから始められます。法務、税務、建設業許可、経審、労務、保証、不動産などは案件ごとに判断が異なるため、必要に応じて専門家に確認しながら、納得感のある事業承継を進めることが大切です。

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